知っておきたい椎間板ヘルニア!好発部位とその症状、最新の治療法を分かりやすく解説

椎間板ヘルニアの好発部位について詳しく知りたいと思っていませんか? このページでは、椎間板ヘルニアが発生しやすい部位を、頸椎、胸椎、腰椎に分け、それぞれ解説します。 椎間板ヘルニアとは何かという基本的な説明から、各部位における具体的な症状、そして最新の診断方法や治療法まで、網羅的に分かりやすくまとめました。 特に、腰椎椎間板ヘルニアでは坐骨神経痛や間欠性跛行、頸椎椎間板ヘルニアでは上肢のしびれや痛み、頭痛やめまい、そして比較的稀な胸椎椎間板ヘルニアでは背部痛や胸腹部の痛みなど、それぞれの好発部位と関連する代表的な症状を詳しく解説しています。さらに、MRIやCTなどの画像検査による診断方法や、薬物療法、理学療法などの保存療法、そして手術療法といった様々な治療法についても紹介。椎間板ヘルニアの予防法についても触れているので、既にヘルニアを発症している方はもちろん、予防したい方も必見です。この記事を読めば、椎間板ヘルニアの好発部位と症状の関連性、そして適切な対処法が理解できるでしょう。

1. 椎間板ヘルニアとは

椎間板ヘルニアは、背骨の骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板の一部が飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれなどの症状を引き起こす疾患です。加齢や激しい運動、悪い姿勢などが原因で発症することがあります。特に、重いものを持ち上げたり、体をひねる動作で発症リスクが高まります。日常生活に支障をきたすこともあるため、適切な知識を持つことが重要です。

1.1 椎間板の役割と構造

椎間板は、背骨を構成する椎骨と椎骨の間に位置し、クッションのような役割を果たす組織です。これにより、体をスムーズに動かすことができ、外部からの衝撃を吸収して脊髄や神経を守っています。椎間板は、中心部の髄核とそれを囲む線維輪から構成されています。髄核はゼリー状の弾力性のある組織で、線維輪はコラーゲン線維でできた丈夫な組織です。この構造により、椎間板は柔軟性と強度を兼ね備えています。

1.2 椎間板ヘルニアの発生メカニズム

椎間板ヘルニアは、主に加齢や外傷によって椎間板が変性し、線維輪に亀裂が生じることで発生します。この亀裂から髄核が飛び出し、近くの神経根や脊髄を圧迫することで、痛みやしびれなどの神経症状が現れます。好発年齢は30~50歳代で、男女比はほぼ同じです。また、遺伝的要因や生活習慣も発症に影響を与えると考えられています。具体的には、長時間のデスクワークや運転、猫背などの悪い姿勢、喫煙、肥満などがリスクを高めるとされています。逆に、日頃から正しい姿勢を意識し、適度な運動を心がけることで予防につながります。

椎間板ヘルニアの発生メカニズムを以下にまとめます。

段階 状態
1 椎間板の変性:加齢や外傷により、椎間板の水分が減少し弾力性が低下する。
2 線維輪の亀裂:変性した椎間板に負荷がかかり、線維輪に亀裂が生じる。
3 髄核の突出:亀裂から髄核が飛び出し、神経根や脊髄を圧迫する。
4 神経症状の発現:圧迫された神経に沿って痛みやしびれなどの症状が現れる。

このように、椎間板ヘルニアは複雑なメカニズムで発生します。そのため、症状や進行度合いによって適切な治療法を選択することが重要です。

2. 椎間板ヘルニアの好発部位 解説

椎間板ヘルニアは、体のどの部位でも発生する可能性がありますが、特に負担のかかりやすい部位に好発します。代表的な好発部位は、腰椎、頸椎、胸椎です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

2.1 腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板ヘルニアの中で最も多く発生する部位です。腰椎は、上半身の重みを支え、様々な動きを行うため、大きな負担がかかりやすい部位です。特に、第4腰椎と第5腰椎の間第5腰椎と仙骨の間に好発します。

2.1.1 腰椎椎間板ヘルニアの症状

腰椎椎間板ヘルニアの主な症状は、腰痛、下肢の痛みやしびれ、臀部の痛み、足の筋力低下などです。これらの症状は、ヘルニアによって神経が圧迫されることで引き起こされます。症状の程度は、ヘルニアの大きさや神経の圧迫の程度によって異なります。

2.1.2 腰椎椎間板ヘルニアの好発部位

前述の通り、腰椎椎間板ヘルニアはL4/L5L5/S1に最も多く発生します。これは、これらの部位が前屈、後屈、回旋といった動作において特に大きな負担がかかるためです。日常生活での姿勢や動作、スポーツなどによる負荷が蓄積することで、椎間板に亀裂が生じ、ヘルニアへと進行しやすくなります。

2.2 頸椎椎間板ヘルニア

頸椎椎間板ヘルニアは、腰椎椎間板ヘルニアに次いで多く発生する部位です。頸椎は、頭を支え、様々な方向に動かすため、こちらも負担がかかりやすい部位です。特に、第5頸椎と第6頸椎の間第6頸椎と第7頸椎の間に好発します。

2.2.1 頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎椎間板ヘルニアの主な症状は、首の痛み、肩こり、腕の痛みやしびれ、手の筋力低下などです。ヘルニアによって神経が圧迫されることで、これらの症状が現れます。また、頭痛やめまいが生じることもあります。

2.2.2 頸椎椎間板ヘルニアの好発部位

頸椎椎間板ヘルニアは、C5/C6C6/C7に好発します。デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けたり、スマートフォンやパソコンの使用によるストレートネックも、頸椎への負担を増大させ、ヘルニア発生のリスクを高める要因となります。

2.3 胸椎椎間板ヘルニア

胸椎椎間板ヘルニアは、腰椎や頸椎に比べて発生頻度は低いですが、発生すると重篤な症状を引き起こす可能性があります。胸椎は、肋骨と繋がっているため、可動域が狭く、ヘルニアが発生しにくい構造になっています。しかし、発生した場合には、脊髄が圧迫されやすく、下半身の麻痺などの重篤な症状につながる可能性があります。

2.3.1 胸椎椎間板ヘルニアの症状

胸椎椎間板ヘルニアの主な症状は、背中の痛み、胸や腹部の痛み、下肢のしびれや麻痺などです。症状はヘルニアの発生部位や程度によって様々です。脊髄が圧迫された場合には、排尿・排便障害などの症状が現れることもあります。

2.3.2 胸椎椎間板ヘルニアの好発部位

胸椎椎間板ヘルニアは、他の部位に比べて発生頻度が低いものの、下位胸椎、特にTh11/Th12に比較的多く発生する傾向があります。加齢による椎間板の変性や外傷などが原因となることが多いです。

部位 好発椎間 主な症状
腰椎 L4/L5, L5/S1 腰痛、下肢の痛みやしびれ、臀部の痛み、足の筋力低下
頸椎 C5/C6, C6/C7 首の痛み、肩こり、腕の痛みやしびれ、手の筋力低下、頭痛、めまい
胸椎 Th11/Th12 (下位胸椎) 背中の痛み、胸や腹部の痛み、下肢のしびれや麻痺、排尿・排便障害(重篤な場合)

上記は代表的な好発部位であり、必ずしもこれらの部位に限定されるわけではありません。どの部位にヘルニアが発生しても、適切な診断と治療を受けることが重要です。少しでも気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう。

3. 椎間板ヘルニアの症状

椎間板ヘルニアの症状は、ヘルニアが発生した部位(頸椎、胸椎、腰椎)によって大きく異なります。また、ヘルニアの程度や個々の体質によっても症状の現れ方は様々です。神経根への圧迫の程度が軽度であれば、痛みやしびれなどの症状が一時的に現れるだけの場合もありますが、重度になると、日常生活に支障をきたすほどの激しい痛みやしびれ、麻痺などの症状が現れることもあります。ここでは、それぞれの部位における代表的な症状を詳しく解説します。

3.1 腰椎椎間板ヘルニアの代表的な症状

腰椎椎間板ヘルニアは、最も発症頻度が高い部位です。腰椎にヘルニアが生じると、主に腰や下肢に症状が現れます。代表的な症状は以下の通りです。

3.1.1 坐骨神経痛

坐骨神経痛は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足先にかけて伸びる坐骨神経が圧迫されることで生じる痛みやしびれのことです。鋭い痛みや電気が走るような痛みジンジンとしたしびれなどが特徴です。咳やくしゃみで痛みが悪化することもあります。

3.1.2 間欠性跛行

間欠性跛行とは、一定時間歩くと足に痛みやしびれが出て歩けなくなり、少し休むとまた歩けるようになる症状のことです。脊柱管狭窄症でも同様の症状が現れるため、鑑別が必要です。

その他、腰痛下肢の筋力低下排尿・排便障害などが現れる場合もあります。特に排尿・排便障害がある場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。

3.2 頸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状

頸椎椎間板ヘルニアは、腰椎に次いで発症頻度が高い部位です。頸椎にヘルニアが生じると、主に首、肩、腕に症状が現れます。

3.2.1 上肢のしびれや痛み

上肢のしびれや痛みは、頸椎椎間板ヘルニアの最も特徴的な症状です。神経根が圧迫されることで、肩から腕、指先にかけて、鋭い痛みジンジンとしたしびれビリビリとした感覚が生じます。また、腕や手の筋力低下が起こることもあります。

3.2.2 頭痛やめまい

頭痛やめまいも頸椎椎間板ヘルニアでよく見られる症状です。ヘルニアによって血管や神経が圧迫されることで、後頭部やこめかみの痛みふらつき吐き気などが生じることがあります。これらの症状は、自律神経症状と呼ばれることもあります。

その他、首の痛み首の可動域制限などが現れる場合もあります。

3.3 胸椎椎間板ヘルニアの代表的な症状

胸椎椎間板ヘルニアは、頸椎や腰椎に比べて発症頻度は低いですが、診断が難しく見過ごされるケースもあります。胸椎にヘルニアが生じると、主に背中や胸、腹部などに症状が現れます。

3.3.1 背中の痛み

背中の痛みは、胸椎椎間板ヘルニアの最も一般的な症状です。鈍い痛み鋭い痛みなど、痛みの種類は様々です。また、肋間神経痛を引き起こし、胸部に帯状の痛みを生じることもあります。

3.3.2 胸や腹部の痛み

ヘルニアの位置によっては、胸や腹部にも痛みやしびれが現れることがあります。この場合、内臓疾患と間違われることもあり、注意が必要です。歩行障害排尿・排便障害が現れる場合もあります。

部位 主な症状
腰椎 腰痛、坐骨神経痛、間欠性跛行、下肢のしびれや痛み、下肢の筋力低下、排尿・排便障害
頸椎 首の痛み、上肢のしびれや痛み、頭痛、めまい、吐き気、腕や手の筋力低下
胸椎 背中の痛み、胸や腹部の痛み、肋間神経痛、歩行障害、排尿・排便障害

上記は代表的な症状であり、必ずしも全ての症状が現れるわけではありません。また、これらの症状は他の疾患でも現れることがあるため、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが重要です。

4. 椎間板ヘルニアの診断方法

椎間板ヘルニアの診断は、患者さんの症状や身体所見、そして画像検査の結果を総合的に判断して行われます。確定診断のためには、医療機関を受診し、専門医による診察が必要です。

4.1 問診と診察

まずは、問診で現在の症状、発症時期、痛みの部位や程度、日常生活での支障などについて詳しく聞き取ります。いつから痛みがあるのか、どのような動作で痛みが強くなるのか、しびれや麻痺はあるかなどを具体的に伝えることが重要です。神経症状の有無も重要な判断材料となります。

次に、診察では、姿勢や歩行の様子、脊椎の可動範囲、神経学的検査などを行います。神経学的検査では、腱反射、筋力、感覚などを調べ、神経の圧迫や損傷の程度を評価します。例えば、下肢伸展挙上テスト(SLRテスト)は、坐骨神経痛の有無を調べる代表的な検査です。その他、感覚障害の有無を調べる検査や、筋力の低下をみる検査など、様々な神経学的検査があります。これらの検査結果と問診から得られた情報を組み合わせることで、椎間板ヘルニアの可能性を評価します。

4.2 画像検査

問診と診察である程度の診断は可能ですが、椎間板ヘルニアの確定診断や、ヘルニアの状態を詳細に把握するためには画像検査が不可欠です。主な画像検査には、レントゲン検査、MRI検査、CT検査があります。

4.2.1 レントゲン検査

レントゲン検査では、骨の状態を確認できます。椎間板自体はレントゲンに写りませんが、椎間板の間隔が狭くなっている場合は、椎間板ヘルニアの可能性を示唆します。また、脊椎の変形や不安定性、骨棘の有無なども確認できます。他の疾患との鑑別にも役立ちます。

4.2.2 MRI検査

MRI検査は、椎間板ヘルニアの診断に最も有用な検査です。椎間板の突出や断裂、脊髄や神経根の圧迫の程度を詳細に確認できます。また、椎間板の変性や炎症の状態も把握することが可能です。MRI検査は、他の画像検査と比べて、軟部組織の描出能に優れているため、椎間板ヘルニアの診断には欠かせない検査となっています。造影剤を使用する場合もあります。

4.2.3 CT検査

CT検査は、骨の状態をより詳細に評価する際に用いられます。MRI検査に比べて、骨の描出能に優れています。脊椎管狭窄症や骨棘の有無、脊椎の骨折などを確認するのに役立ちます。また、MRI検査が禁忌である患者(ペースメーカーを使用している患者など)の場合にも有用です。ただし、CT検査はMRI検査に比べて軟部組織の描出能が劣るため、椎間板ヘルニアの診断においてはMRI検査が第一選択となります。

検査方法 目的 特徴
レントゲン検査 骨の状態確認、他の疾患との鑑別 椎間板自体は写らない
MRI検査 椎間板ヘルニアの確定診断、状態把握 軟部組織の描出に優れる
CT検査 骨の状態の詳細な評価 MRI検査が禁忌の場合に有用

これらの検査結果を総合的に判断し、椎間板ヘルニアの診断を確定します。適切な治療法を選択するために、どの検査が必要かは医師が判断しますので、自己判断せずに医師の指示に従ってください。

5. 椎間板ヘルニアの治療法

椎間板ヘルニアの治療法は、大きく分けて保存療法と手術療法の2つに分類されます。患者様の症状の程度、日常生活への影響、年齢、全身状態などを総合的に判断し、最適な治療法を選択していきます。多くの場合、まずは保存療法を試み、効果が不十分な場合や症状が重症の場合に手術療法を検討します。

5.1 保存療法

保存療法は、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法です。約80~90%の患者様は保存療法で症状が改善すると言われています。主な保存療法には、薬物療法、理学療法、装具療法などがあります。

5.1.1 薬物療法

痛みや炎症を抑える薬を服用します。代表的な薬としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、鎮痛薬、筋弛緩薬、神経障害性疼痛治療薬などがあります。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs):炎症や痛みを抑える効果があります。ロキソニン、ボルタレンなどが代表的です。
  • 鎮痛薬:痛みを和らげる効果があります。アセトアミノフェンなどが代表的です。
  • 筋弛緩薬:筋肉の緊張を和らげる効果があります。ミオナールなどが代表的です。
  • 神経障害性疼痛治療薬:神経の損傷による痛みを抑える効果があります。リリカ、サインバルタなどが代表的です。

5.1.2 理学療法

理学療法士による指導のもと、ストレッチ、筋力トレーニング、マッサージなどを行います。痛みを軽減し、身体の機能を回復させることを目的としています。

  • ストレッチ:筋肉の柔軟性を高め、関節の可動域を広げます。
  • 筋力トレーニング:体幹や背筋などの筋力を強化し、姿勢を安定させます。
  • マッサージ:筋肉の緊張をほぐし、血 circulation を改善します。
  • 牽引療法:椎間板にかかる圧力を軽減します。

5.1.3 装具療法

コルセットなどの装具を装着することで、腰や首を支え、負担を軽減します。痛みの軽減や再発予防に効果があります。

5.2 手術療法

保存療法で効果が得られない場合や、神経麻痺などの重篤な症状がある場合に手術療法が検討されます。手術療法には、内視鏡手術、レーザー治療、椎間板摘出術などがあります。

5.2.1 内視鏡手術

小さな切開部から内視鏡を挿入し、ヘルニアの原因となっている椎間板の一部を切除する方法です。身体への負担が少ないため、早期の社会復帰が期待できます。MED法(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)やPED法(経皮的内視鏡下椎間板摘出術)などがあります。

5.2.2 レーザー治療

レーザーを用いて椎間板内の水分を蒸発させ、ヘルニアの突出を縮小させる方法です。PLDD(経皮的レーザー椎間板減圧術)などが代表的です。

5.2.3 椎間板摘出術

ヘルニアを起こしている椎間板の一部または全部を切除する方法です。LOVE法(後側方進入腰椎椎間板摘出術)やPLIF法(後側方椎体間固定術)などがあります。

治療法 概要 メリット デメリット
保存療法 手術をせずに痛みや症状を和らげる 身体への負担が少ない、入院の必要がない場合が多い 効果が出るまでに時間がかかる場合がある、重症例には適さない
内視鏡手術 小さな切開でヘルニアを切除 身体への負担が少ない、早期の社会復帰が可能 すべての症例に適用できるわけではない
レーザー治療 レーザーでヘルニアを縮小 身体への負担が少ない 効果が限定的である場合がある
椎間板摘出術 ヘルニアを切除 確実な効果が期待できる 身体への負担が大きい、入院が必要

どの治療法が最適かは、患者様の症状や状態によって異なります。医師とよく相談し、最適な治療法を選択することが重要です。自己判断で治療法を決めたり、治療を中断したりすることは危険ですので、必ず医師の指示に従ってください。

6. 椎間板ヘルニアの予防法

椎間板ヘルニアは、一度発症すると再発のリスクも抱えるため、予防が非常に重要です。生活習慣の見直しによって、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの発生や再発を防ぎましょう。ここでは、椎間板ヘルニアを予防するための具体的な方法を解説します。

6.1 正しい姿勢を保つ

日常生活における姿勢は、椎間板への負担に大きく影響します。特に、猫背や前かがみの姿勢は腰椎に大きな負担をかけるため、椎間板ヘルニアのリスクを高めます。正しい姿勢を意識的に保つことで、椎間板への負担を軽減し、ヘルニアの予防につながります。

6.1.1 立っている時

耳、肩、股関節、くるぶしが一直線になるように意識しましょう。お腹に軽く力を入れ、背筋を伸ばすことが大切です。長時間立っている場合は、台などに片足を乗せて腰への負担を分散させるのも効果的です。

6.1.2 座っている時

椅子に深く腰掛け、背もたれを利用しましょう。足を組むのは避け、両足を床につけるようにします。デスクワークなどで長時間座る場合は、こまめに立ち上がって体を動かすことが重要です。適切な高さの椅子やクッションを使用することも効果的です。

6.1.3 物を持ち上げる時

腰を曲げずに、膝を曲げて持ち上げるようにしましょう。重い物を持ち上げる際は、特に注意が必要です。無理せず、誰かに手伝ってもらうことも検討しましょう。また、リュックサックなどを使用する際は、左右のバランスに気を付けて、重すぎないようにしましょう。

6.2 適度な運動をする

適度な運動は、腰背部の筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減する効果があります。ウォーキング、水泳、ヨガ、ストレッチなど、腰に負担の少ない運動を選び、無理なく継続することが大切です。筋力トレーニングを行う場合は、正しいフォームで行うように注意し、トレーナーの指導を受けるのも良いでしょう。

6.2.1 おすすめの運動

運動の種類 効果 注意点
ウォーキング 全身の血行促進、筋力強化 正しい姿勢で行う
水泳 浮力による腰への負担軽減、全身運動 水温に注意
ヨガ 柔軟性向上、体幹強化 無理なポーズは避ける
ストレッチ 筋肉の柔軟性向上、血行促進 痛みのない範囲で行う
ピラティス 体幹強化、姿勢改善 インストラクターの指導を受けるのが望ましい

6.3 バランスの良い食事を摂る

骨や筋肉の健康を維持するためには、バランスの良い食事が不可欠です。カルシウム、ビタミンD、タンパク質などを積極的に摂取するように心がけましょう。また、肥満は椎間板への負担を増大させるため、適正体重を維持することも重要です。

6.3.1 栄養素と役割

栄養素 役割 多く含まれる食品
カルシウム 骨の形成・維持 牛乳、ヨーグルト、チーズ、小魚
ビタミンD カルシウムの吸収を促進 鮭、卵黄、きのこ類
タンパク質 筋肉の構成成分 肉、魚、卵、大豆製品

これらの予防法を日常生活に取り入れ、椎間板ヘルニアのリスクを減らし、健康な体を維持しましょう。既に椎間板ヘルニアを発症している方は、医師の指示に従いながら、これらの予防法を実践することが重要です。

7. まとめ

この記事では、椎間板ヘルニアの好発部位を中心に、その症状、診断方法、治療法、そして予防法までを網羅的に解説しました。椎間板ヘルニアは、椎間板の一部が飛び出し、周囲の神経を圧迫することで様々な症状を引き起こす疾患です。特に腰椎、頸椎、胸椎に好発し、それぞれの部位で特徴的な症状が現れます。腰椎では坐骨神経痛や間欠性跛行、頸椎では上肢のしびれや痛み、頭痛やめまい、胸椎では背中の痛みや胸腹部の痛みが代表的です。

診断にはMRI検査が有効で、ヘルニアの大きさや位置を正確に把握できます。治療は、保存療法が第一選択となり、薬物療法、理学療法、装具療法などが行われます。症状が改善しない場合や重症例では、内視鏡手術などの外科的治療も検討されます。日頃から正しい姿勢を維持し、適度な運動、バランスの良い食事を心がけることで、椎間板ヘルニアの予防に繋がります。この記事が、椎間板ヘルニアに対する理解を深める一助となれば幸いです。

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