肩の痛みや動きにくさに悩むあなたは、「五十肩と四十肩、一体何が違うのだろう?」と疑問に感じているかもしれません。この記事では、あなたの疑問を解消し、それぞれの症状の決定的な違いを分かりやすく解説いたします。さらに、ご自身の状態に合わせた今すぐ実践できる対処方法を具体的にご紹介。痛みを和らげ、肩の動きをスムーズにするためのセルフケア、そして専門家へ相談する適切なタイミングまで、あなたが知りたい情報がここにあります。違いを理解し、適切なケアを始めることで、つらい肩の悩みから解放され、快適な日常生活を取り戻しましょう。
1. はじめに 五十肩と四十肩で悩むあなたへ
肩の痛みや動きの制限は、日常生活に大きな影響を与えます。
服の着脱が辛い、寝返りが打てない、高いところの物が取れないなど、
些細な動作にも支障が出てしまうと、精神的にも負担を感じてしまいますよね。
特に、肩の痛みが長く続く場合、それが「五十肩」なのか「四十肩」なのか、
ご自身の症状がどちらに当てはまるのか分からず、
適切な対処法を見つけられないと悩んでいらっしゃる方も少なくありません。
「五十肩」と「四十肩」は、名前こそ違いますが、
どちらも肩関節周辺に炎症が起こり、痛みや動きの制限が生じる状態を指すことが多く、
その違いを正確に理解している方は意外と少ないものです。
しかし、ご自身の症状がどちらに該当するのかを知ることは、
効果的な対処法を選ぶ上で非常に重要になります。
1.1 この記事で解決するあなたの疑問
このページでは、あなたが抱える肩の痛みに関する疑問を解消し、
安心して日常生活を送るための一歩を踏み出すお手伝いをさせていただきます。
具体的には、まず「五十肩」と「四十肩」の決定的な違いを、
発症年齢、症状の進行度合い、痛みの特徴、そして原因という多角的な視点から徹底的に解説します。
これにより、ご自身の症状を正しく理解し、不安を軽減できるでしょう。
さらに、痛みが強い時期から回復期に至るまで、
時期別の適切な対処法を詳しくご紹介します。
自宅で手軽にできるセルフケアや効果的なストレッチ、
そして日常生活で気をつけるべきポイントまで、実践的な情報が満載です。
また、専門家への相談を検討すべきタイミングや、
より詳しいケアを受けるメリットについても触れていきます。
この記事を通じて、あなたの肩の痛みが和らぎ、
快適な毎日を取り戻すための一助となれば幸いです。
2. 五十肩と四十肩 その違いを徹底解説
肩の痛みに悩まされている方の多くが、「これは五十肩だろうか、それとも四十肩だろうか」と疑問に思われるかもしれません。実は、この二つの呼び名は、年齢によって使い分けられているだけで、根本的な病態は同じであることが多いのです。ここでは、五十肩と四十肩の決定的な違いと、その共通点について詳しく解説いたします。
2.1 五十肩と四十肩の定義と呼び名の違い
「五十肩」と「四十肩」は、どちらも肩の痛みを伴い、腕が上がりにくくなる症状を指す一般的な呼び名です。医学的には、これらは総称して「肩関節周囲炎」と呼ばれています。
この二つの呼び名が生まれたのは、発症する年齢層に特徴があるためです。40代で発症した場合を「四十肩」、50代で発症した場合を「五十肩」と呼ぶことが一般的ですが、これはあくまで慣習的なもので、厳密な医学的な区別があるわけではありません。
どちらも、肩関節の周囲にある腱や関節包、滑液包といった組織に炎症が起きたり、硬くなったりすることで痛みや動きの制限が生じる状態を指します。つまり、呼び名が違うだけで、症状や病態はほぼ同じであると考えていただいて問題ありません。
項目 | 五十肩 | 四十肩 |
---|---|---|
主な発症年齢 | 主に50代 | 主に40代 |
医学的名称 | 肩関節周囲炎 | |
病態の本質 | 肩関節周囲の炎症や組織の硬化による痛みと可動域制限 |
2.2 発症年齢の違いとそれぞれの特徴
先述の通り、四十肩は40代、五十肩は50代に多く見られる症状ですが、これはあくまで傾向であり、30代や60代で同様の症状が出ることもあります。年齢が上がるにつれて、私たちの身体、特に関節を構成する組織は少しずつ変化していきます。
- 40代での発症(四十肩)
この年代は、仕事や子育てなどで身体を酷使する機会が多く、肩に負担がかかりやすい時期です。まだ身体の回復力も比較的高いですが、小さな負荷の蓄積や、急な無理な動作が引き金となることがあります。炎症が強く出るケースも少なくありません。 - 50代での発症(五十肩)
50代になると、肩関節を構成する腱や靭帯、関節包などの組織が、加齢に伴い柔軟性を失い、もろくなる傾向があります。血行も悪くなりがちで、修復能力が低下しているため、炎症が治まりにくく、痛みが長引くことがあります。また、関節の動きが悪くなる「拘縮」がより顕著になることも特徴です。
どちらの年代でも、肩の使いすぎや、逆に動かさなさすぎ、あるいは冷えなどが複合的に影響し、発症につながると考えられています。
2.3 症状の進行度合いと痛みの違い
五十肩も四十肩も、症状の進行にはいくつかの段階があり、それぞれの時期で痛みの性質や強さが異なります。この進行段階を理解することは、適切な対処法を見つける上で非常に重要です。
- 炎症期(急性期)
この時期は、肩関節に強い炎症が起きているため、痛みが最も強く現れます。特に、腕を動かした時だけでなく、安静にしていてもズキズキとした痛みが続くことがあります。夜間に痛みが強くなり、寝返りが打てない、眠れないといった「夜間痛」に悩まされる方も少なくありません。この時期は、無理に動かすと炎症が悪化する可能性があるため、安静にすることが重要です。 - 拘縮期(慢性期)
炎症が少しずつ落ち着いてくる時期ですが、今度は肩関節の動きが悪くなる「拘縮」が目立つようになります。腕を上げたり、後ろに回したりといった動作が非常に困難になり、日常生活に支障をきたしやすくなります。例えば、髪をとかす、服を着替える、背中に手を回すといった動作が難しくなります。痛みは炎症期よりは和らぎますが、無理に動かそうとすると痛みが走ります。 - 回復期(改善期)
徐々に痛みが和らぎ、肩の動きも改善してくる時期です。しかし、完全に元の状態に戻るまでには時間がかかることが多く、油断はできません。この時期には、固まってしまった肩の関節を少しずつ動かし、柔軟性を取り戻すための積極的なアプローチが重要になります。
五十肩も四十肩も、これらの段階を経て自然に改善に向かう傾向がありますが、適切な対処を行わないと、回復が遅れたり、痛みが長引いたり、関節の動きが完全に元に戻らないといった後遺症が残る可能性もあります。
2.4 原因の違い どちらも肩関節周囲炎?
「五十肩」と「四十肩」は、前述の通り、どちらも「肩関節周囲炎」という一つの病態を指します。そのため、根本的な原因に違いがあるわけではありません。多くの場合、特定の原因を特定できない「特発性」とされています。
しかし、発症の背景にはいくつかの要因が考えられます。
- 加齢による変化
年齢を重ねることで、肩関節を構成する腱や靭帯、関節包といった組織が徐々に弾力性を失い、硬くなったり、もろくなったりします。これにより、小さな負荷でも炎症を起こしやすくなったり、組織の修復が遅れたりすることが考えられます。 - 血行不良
肩周辺の血行が悪くなることも、原因の一つとされています。血行が悪くなると、組織に十分な栄養が行き渡らず、老廃物が蓄積しやすくなり、炎症が起きやすくなります。 - 使いすぎや使い方の偏り
スポーツや仕事などで肩を酷使したり、特定の動作を繰り返したりすることで、肩関節に負担がかかり、炎症を引き起こすことがあります。逆に、肩をあまり動かさない生活を送っていると、関節が固まりやすくなることもあります。 - 姿勢の悪さ
猫背など姿勢が悪いと、肩や首に余計な負担がかかり、肩関節周囲炎の発症リスクを高める可能性があります。
これらの要因が単独で、あるいは複数組み合わさることで、肩関節周囲炎が発症すると考えられています。つまり、五十肩も四十肩も、根本的な原因は共通していると言えるでしょう。
2.5 五十肩と四十肩の共通点とは
五十肩と四十肩は、呼び名こそ違えど、多くの共通点を持っています。この共通点を理解することで、適切な対処法を見つける手助けになります。
- 病態の同一性
最も重要な共通点は、どちらも「肩関節周囲炎」という同じ病態を指すという点です。肩関節を構成する組織の炎症や硬化が主な原因であり、そのメカニズムに本質的な違いはありません。 - 症状の類似性
どちらも、肩の痛みと可動域制限が主な症状です。腕を上げたり、後ろに回したりといった動作が困難になる、夜間痛がある、といった症状は、四十肩でも五十肩でも共通して見られます。 - 自然治癒の傾向
五十肩も四十肩も、一般的に自然に治癒する傾向があるとされています。ただし、完治までには数ヶ月から1年以上かかることもあり、その間、適切な対処を行わないと、痛みが長引いたり、関節の動きが完全に元に戻らない可能性もあります。 - 対処方法の共通性
症状の進行段階に応じた対処法は、五十肩と四十肩で共通しています。炎症が強い時期は安静にし、痛みが落ち着いてきたら少しずつ動かして可動域を広げる、といった基本的なアプローチは同じです。温熱療法やストレッチ、日常生活での工夫なども共通して有効です。
これらの共通点を踏まえると、五十肩と四十肩は、年齢による呼び方の違いに過ぎず、同じ症状と向き合い、同じように対処していく必要があると理解できます。ご自身の肩の痛みがどちらに該当するかを気にしすぎるよりも、症状の段階に応じた適切なケアを行うことが大切です。
3. 今すぐできる五十肩と四十肩の対処方法
五十肩や四十肩の症状は、時期によって適切な対処方法が異なります。痛みの状態や肩の動かしにくさに合わせて、効果的なセルフケアや専門的なアプローチを取り入れることが大切です。ここでは、症状の時期に応じた対処法と、ご自宅で実践できるケア、そして専門機関への相談について詳しく解説いたします。
3.1 症状の時期別 対処法のポイント
五十肩や四十肩は、一般的に「炎症期」「拘縮期」「回復期」の3つの時期を経て症状が変化していきます。それぞれの時期に合わせた適切な対処法を知ることで、症状の悪化を防ぎ、スムーズな回復を目指すことができます。
3.1.1 炎症期 痛みが強い時期の対処法
炎症期は、肩の痛みが最も強く、特に夜間痛や安静時痛が顕著に現れる時期です。この時期は、無理に肩を動かすと炎症が悪化する可能性があるため、安静にすることが最も重要です。
- 安静の確保: 痛む動作を避け、肩に負担をかけないようにします。重いものを持つ、腕を高く上げるなどの動作は控えてください。
- 冷却療法: 痛みが強い場合や熱感がある場合は、アイスパックなどで患部を冷やすと炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。1回15分程度を目安に、直接肌に当てないようタオルなどで包んで使用してください。
- 消炎鎮痛剤の使用: 市販の湿布や塗り薬など、消炎鎮痛効果のあるものを使用することで、痛みを一時的に緩和できます。
- 寝るときの工夫: 痛む側の肩を下にして寝ることを避け、クッションなどを活用して楽な姿勢を見つけると、夜間痛の軽減につながります。
この時期に無理な運動やストレッチを行うと、かえって症状を悪化させる恐れがあるため、痛みを伴う動作は避けるようにしてください。
3.1.2 拘縮期 動きが悪くなる時期の対処法
拘縮期は、炎症による強い痛みが少し落ち着き、代わりに肩の動く範囲が狭くなる時期です。肩の関節が硬くなり、腕が上がりにくくなったり、後ろに回しにくくなったりします。この時期は、無理のない範囲で肩の可動域を広げる運動を取り入れることが大切です。
- 温熱療法: 患部を温めることで血行が促進され、筋肉や関節の柔軟性が向上し、痛みの緩和にもつながります。温かいタオル、入浴、ホットパックなどを活用しましょう。
- 軽いストレッチ: 痛みのない範囲で、肩の関節をゆっくりと動かすストレッチを行います。振り子運動や、壁に手をついてゆっくりと腕を上げる練習などが有効です。決して無理はせず、痛みが強くなる手前で止めることが重要です。
- 日常生活での工夫: 積極的に肩を動かす機会を作るように意識します。例えば、髪をとかす、服を着替えるなど、日常生活の動作の中で肩を動かす練習を取り入れると良いでしょう。
この時期は、痛みが和らいだからといって急に激しい運動を始めると、再び炎症を引き起こす可能性があります。焦らず、少しずつ可動域を広げていくことが大切です。
3.1.3 回復期 痛みが和らぎ改善する時期の対処法
回復期は、肩の痛みがさらに和らぎ、肩の動きも徐々に改善していく時期です。この時期には、積極的に肩の可動域を広げ、筋力を回復させる運動を取り入れることで、肩の機能を元の状態に近づけていきます。
- 積極的なストレッチ: 痛みがほぼなくなり、可動域が広がってきたら、より広範囲に肩を動かすストレッチを行います。肩甲骨の動きを意識した運動も効果的です。
- 筋力トレーニング: 肩関節を支える筋肉(ローテーターカフなど)や肩甲骨周囲の筋肉を強化する運動を取り入れます。軽いダンベルやゴムバンドを使った運動が有効です。
- 全身運動: ウォーキングや軽いジョギングなど、全身の血行を促進する運動も回復を助けます。
- 再発予防: 症状が改善しても、油断せずに継続的なセルフケアや運動を続けることで、再発を防ぎます。
この時期は、肩の機能回復が目的となりますが、決して無理はせず、少しずつ負荷を上げていくように心がけてください。
各時期の対処法をまとめると、以下のようになります。
時期 | 主な症状 | 対処法のポイント |
---|---|---|
炎症期 | 強い痛み(夜間痛、安静時痛)、熱感 | 安静、冷却、消炎鎮痛剤の使用 |
拘縮期 | 痛みが軽減、肩の動きの制限(可動域低下) | 温熱療法、無理のない範囲での軽いストレッチ |
回復期 | 痛みがほぼ消失、動きが改善傾向 | 積極的なストレッチ、筋力トレーニング、全身運動 |
3.2 自宅でできるセルフケアとストレッチ
五十肩や四十肩の症状を和らげ、回復を促すためには、ご自宅で継続的に行えるセルフケアやストレッチが非常に効果的です。日々の生活に無理なく取り入れられる方法をご紹介します。
3.2.1 痛みを和らげる温熱療法と冷却療法
温熱療法と冷却療法は、肩の痛みを和らげるために効果的な方法です。症状の時期や痛みの種類によって使い分けが重要です。
- 温熱療法:
- 適用時期: 主に拘縮期や回復期、または慢性的な鈍い痛みがある場合。
- 目的: 血行促進、筋肉の緊張緩和、関節の柔軟性向上、痛みの軽減。
- 方法:
- 入浴: 肩までしっかり浸かる全身浴で体を温めます。
- 蒸しタオル: 温かい蒸しタオルを患部に当てます。火傷に注意し、適度な温度で使用してください。
- 温湿布やカイロ: 手軽に患部を温めることができます。
- 冷却療法:
- 適用時期: 主に炎症期や、急な痛み、熱感がある場合。運動後に炎症が起こった場合など。
- 目的: 炎症の抑制、痛みの軽減、腫れの抑制。
- 方法:
- アイスパックや氷嚢: 氷を袋に入れ、タオルで包んで患部に当てます。1回15分程度を目安にしてください。
- 冷湿布: 手軽に患部を冷やすことができます。
どちらの療法も、ご自身の体調や痛みの状態に合わせて無理なく行うことが大切です。迷う場合は、専門機関に相談してください。
3.2.2 症状改善のための効果的なストレッチ 五十肩 四十肩共通
五十肩と四十肩のどちらの場合も、肩関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高めるストレッチは非常に有効です。痛みのない範囲で、毎日継続して行うことが重要です。
- 振り子運動(コッドマン体操):
- 体を前にかがめ、痛む側の腕をだらんと垂らします。
- 腕の重みを利用して、ゆっくりと前後、左右、円を描くように揺らします。
- 力を抜いて、肩の力を抜くことがポイントです。
- 壁を使った腕上げストレッチ:
- 壁の前に立ち、両手を壁につけます。
- ゆっくりと手を壁の上の方に滑らせるように上げていきます。
- 痛みを感じる手前で止め、数秒キープします。
- 慣れてきたら、少しずつ高く上げるように挑戦します。
- タオルを使った肩のストレッチ:
- 長いタオルを用意し、両手でタオルの両端を持ちます。
- 痛む側の腕を上にして、タオルを背中に回します。
- 痛まない方の手でタオルをゆっくりと引き上げ、痛む側の腕を上に伸ばしていきます。
- 反対に、痛まない方の手でタオルをゆっくりと引き下げ、痛む側の腕を下に伸ばしていきます。
- 肩甲骨回し:
- 両肩に指先を置き、肘で大きく円を描くように回します。
- 前回しと後ろ回しを両方行い、肩甲骨の動きを意識します。
これらのストレッチは、決して無理をせず、痛みを我慢して行わないことが鉄則です。毎日少しずつ、継続して行うことで、徐々に可動域が改善されていきます。
3.2.3 日常生活で気をつけるべきこと
日々の生活習慣を見直すことも、五十肩や四十肩の改善、そして予防には欠かせません。肩への負担を減らし、回復を促すためのポイントをご紹介します。
- 正しい姿勢の維持: 猫背や前かがみの姿勢は肩に負担をかけます。背筋を伸ばし、肩甲骨を意識して正しい姿勢を保つよう心がけましょう。デスクワークの際は、椅子の高さやモニターの位置を調整し、定期的に休憩を取るようにしてください。
- 冷え対策: 肩を冷やすと血行が悪くなり、痛みが悪化したり、回復が遅れたりすることがあります。夏場でもエアコンの風が直接当たらないようにしたり、肩を覆う衣類を着用したりするなど、肩を冷やさない工夫をしましょう。
- 睡眠環境の整備: 痛む側の肩を下にして寝ると、痛みが強くなることがあります。クッションを抱えたり、横向きに寝る場合はクッションを挟んだりして、肩に負担がかからない楽な寝姿勢を見つけることが大切です。
- 肩に負担をかけない動作: 重いものを持ち上げる際は、両手を使ったり、体全体で持ち上げたりするなど、肩に集中して負担がかからないように工夫します。高い場所のものを取る際は、踏み台を使うなどして無理な姿勢を避けてください。
- 適度な運動: 肩だけでなく、全身の血行を促進するウォーキングなどの軽い運動は、回復を助けるだけでなく、ストレス解消にもつながります。
これらの日常生活での工夫は、肩への負担を軽減し、症状の悪化を防ぐために非常に重要です。できることから少しずつ取り入れてみてください。
3.3 専門医への相談の目安と受診のメリット
自宅でのセルフケアだけでは改善が見られない場合や、痛みが非常に強い場合、日常生活に支障をきたす場合は、専門機関への相談を検討することが大切です。専門的な診断と治療を受けることで、より効果的な回復が期待できます。
3.3.1 整形外科を受診するタイミング
以下のような症状が見られる場合は、整形外科を受診することをおすすめします。
- 痛みが非常に強い、または悪化している: 特に夜間痛がひどく、睡眠を妨げるほどの場合。
- 肩の動きが著しく制限されている: 腕が上がらない、後ろに回せないなど、日常生活に大きな支障が出ている場合。
- セルフケアを続けても改善が見られない: 数週間〜数ヶ月セルフケアを続けても、症状が良くならない、または悪化している場合。
- しびれや脱力感がある: 肩の痛みだけでなく、腕や手にしびれを感じる、力が入らないなどの症状がある場合。これは別の疾患の可能性も考えられます。
早期に専門機関を受診することで、正確な診断を受け、適切な治療を開始することができます。自己判断で放置すると、症状が慢性化したり、回復が遅れたりする可能性があります。
3.3.2 病院で行われる主な治療法 薬物療法と理学療法
整形外科では、五十肩や四十肩の症状や進行度合いに応じて、様々な治療法が提供されます。
- 薬物療法:
- 内服薬: 炎症や痛みを抑える非ステロイド性消炎鎮痛剤などが処方されることがあります。
- 外用薬: 湿布や塗り薬など、患部に直接作用する消炎鎮痛剤が用いられます。
- 注射: 痛みが強い場合や炎症がひどい場合に、肩関節内や周囲にステロイド剤や局所麻酔薬を注射することがあります。これにより、痛みを迅速に和らげ、理学療法を行いやすくする効果が期待できます。
- 理学療法(運動療法・物理療法):
- 運動療法: 専門家の指導のもと、肩の可動域を広げるためのストレッチや、肩周囲の筋肉を強化する運動を行います。患者さん一人ひとりの症状に合わせて、適切な運動プログラムが組まれます。
- 物理療法: 温熱療法、電気療法、超音波療法などを用いて、血行促進や痛みの緩和、組織の回復を促します。
これらの治療法は、症状の改善だけでなく、再発予防にもつながります。専門機関での治療と、ご自宅でのセルフケアを組み合わせることで、より効果的な回復が期待できるでしょう。
4. 五十肩と四十肩の予防と再発防止策
五十肩や四十肩は、一度発症すると日常生活に大きな影響を与えることがあります。しかし、日頃からの適切なケアと意識を持つことで、発症を未然に防ぎ、また痛みが和らいだ後の再発を防ぐことが可能です。ここでは、肩の健康を長く保つための具体的な方法をご紹介します。
4.1 日常生活で取り入れたい肩のケア
肩の痛みは、日々の何気ない動作や習慣が原因となることがあります。五十肩や四十肩の予防、そして再発を防ぐためには、日々の生活の中で肩への意識を高めることが大切です。
場面 | 注意点と予防策 |
---|---|
睡眠時 | 寝る姿勢は、肩に負担がかからないよう工夫しましょう。横向きで寝る場合は、抱き枕などを活用して、肩への圧迫を避けるようにしてください。仰向けで寝る場合は、枕の高さが適切か確認し、首から肩にかけてのラインが自然なカーブを描くように調整すると良いでしょう。 |
デスクワーク | 長時間同じ姿勢でいることは、肩への負担を増やします。1時間に一度は立ち上がって軽く体を動かしたり、肩を回したりする休憩を取り入れましょう。モニターの高さや椅子の調整も重要で、肩や首に無理のない姿勢を保つことが大切です。 |
家事や作業 | 重いものを持つ際は、片方の腕だけでなく両手を使ったり、体の近くで持つようにしたりして、肩への負担を分散させましょう。高い場所のものを取る際は、無理に腕を伸ばさず、踏み台などを使って目線の高さに合わせる工夫が有効です。 |
寒さ対策 | 肩周りの冷えは血行不良を招き、痛みを悪化させる原因になります。特に寒い季節や冷房の効いた場所では、肩を冷やさないようにストールやカーディガンなどを羽織り、温かく保つことを心がけてください。入浴で体を温めることも、血行促進に繋がります。 |
これらの小さな心がけが、肩の健康を維持し、痛みの発生や再発を防ぐことに繋がります。日々の生活の中で、意識的に肩を労わる習慣を身につけましょう。
4.2 適切な運動習慣と姿勢の維持
肩の健康を保ち、五十肩や四十肩の予防・再発防止には、適切な運動習慣と正しい姿勢の維持が欠かせません。肩関節の柔軟性を保ち、周囲の筋肉を強化することで、肩への負担を軽減できます。
運動習慣のポイント
- ストレッチ: 肩や肩甲骨周りの筋肉を柔軟に保つためのストレッチを毎日行いましょう。特に、肩を大きく回したり、腕をゆっくりと上げ下げしたりする運動は、関節の可動域を維持するのに役立ちます。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと丁寧に行うことが大切です。
- 軽い筋力トレーニング: 肩関節を支えるインナーマッスル(深層筋)や、背中の筋肉を鍛えることで、肩の安定性が向上します。例えば、腕をゆっくりと持ち上げたり、チューブを使って抵抗をかけながら腕を引いたりするエクササイズなど、無理のない範囲で継続できるものを選びましょう。これにより、肩への負担が軽減され、痛みの予防に繋がります。
- 有酸素運動: ウォーキングや軽いジョギングなど、全身の血行を促進する有酸素運動も効果的です。全身の血行が良くなることで、肩周りの組織にも栄養が行き渡りやすくなり、回復力が高まります。
姿勢の維持の重要性
猫背や巻き肩など、悪い姿勢は肩関節に不必要な負担をかけ、五十肩や四十肩のリスクを高めます。日頃から以下の点を意識して、正しい姿勢を保つように心がけましょう。
- 立つ時: 頭のてっぺんから糸で吊られているようなイメージで、背筋を伸ばし、肩の力を抜いて立ちます。お腹を軽く引き締め、重心が体の中心にあることを意識してください。
- 座る時: 椅子に深く腰掛け、背もたれに寄りかかりすぎず、背筋を伸ばします。足の裏が床にしっかりつくように椅子の高さを調整し、膝が90度になるようにしましょう。
- スマホやPCの使用時: 画面を見る際に首が前に突き出たり、肩がすくんだりしないよう、目線を下げずに画面を調整するか、スマホは目の高さまで持ち上げて使用するようにしましょう。
これらの運動習慣と姿勢の維持は、肩の健康を守る上で非常に重要な要素です。継続することが何よりも大切ですので、無理なく日々の生活に取り入れてみてください。日々の積み重ねが、健やかな肩を保つための大きな力となります。
5. まとめ
五十肩と四十肩は、発症年齢や呼び名に違いがあるものの、肩関節周囲炎という共通の病態です。ご自身の症状を正しく理解し、時期に応じた適切な対処法を知ることが、痛みの軽減と早期回復に繋がります。炎症期は安静、拘縮期はストレッチ、回復期は予防的なケアが重要です。セルフケアも大切ですが、症状が改善しない場合は専門医への相談が不可欠です。日頃からの肩のケアと適切な運動習慣で、再発防止にも努めましょう。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。
お電話ありがとうございます、
初村筋整復院でございます。